O.N.洋画劇場「それでも夜は明ける」「フルートベール駅で」

こんばんわ!モンです

いやー結構映画館で映画鑑賞してるんですけどねぇなかなかブログに書くタイミングがなかったって事で久々のこのコーナー「O.N.洋画劇場」です。

 

芸術な秋の第一弾は映画観賞を<飯田橋ギンレイホール>へ

 

「それでも夜は明ける」と「フルートベール駅で」

黒人監督による差別と暴力を告発した映画の二本立てナイス(って言っていいのか?)なプログラムの組み方好きです、これぞ名画座の真骨頂。

 

「それでも夜は明ける」

自由黒人でバイオリン奏者ソロモンがある日突然誘拐同然に奴隷として売られ解放されるまでの12年間の実話を描いた作品。

 

この映画を観て思ったのは、南北戦争以前のこの奴隷制度があったアメリカの矛盾

北部では黒人が普通に白人と暮らしているのに(主人公ソロモンはバイオリン奏者)

南部では残酷な奴隷制度が普通に行われている(家畜同然に扱われている)この矛盾

本当に同じ国の出来事なのかと思いましたね。

 

奴隷制度を描いた作品と言えば我々世代はどうしても「ルーツ」クンタ・キンテ!な訳ですが、この「それでも夜は明ける」の監督スティーブ・マックイーンは自由黒人時代の主人公の生活や奴隷として誘拐させるシーンなどは、説明を排除して撮って奴隷農園での惨い拷問シーンは、かなり痛烈に描いてます。

 

個人的には「ルーツ」の様なドラマ性があっても良かったのかなと思いますが、もともとTVシリーズと映画では上映の長さが違うのでしかたはないのかなと。

 

まあドラマ性よりも監督は現代社会に未だに蔓延する差別を描いているのかなと思いました。

「フルートベール駅で」

2009年の元旦にサンフランシスコの駅で起きた22歳の黒人青年が警官に撃たれ死亡した社会問題にもなった実話を描いた作品。

 

拳銃を所持していた訳でもない黒人青年はなぜ残酷にも死を向かえてしまったのかを

最後の一日(大晦日)を丁寧に描く事により運命の非情さを浮き彫りにしています。

 

わたし個人的に「それでも夜は明ける」よりコチラの作品の方がグッと魂を撃たれました(比べるのもどうかとは思いますが)

 

主人公オスカー、服役経験もある、ちょっとダメ男(遅刻で職場をクビになって大晦日の現在無職)なのですが兎に角憎めない根は優しい男なのですよ。

娘と奥さんの為、今度こそ真っ当な人間になろうと彼なりに必死に努力してるのです。しかも今日大晦日は母親の誕生日、家族で誕生日を祝った後に友人達と見に行った新年の花火大会の帰りに悲劇は起こります。

 

スーパーに再就職を願い出るも断られ手っ取り早くお金を稼げるマリファナの売人に身を落とすか・・・と思う誘惑を断ち切り(海にマリファナを捨てる印象的なシーン)来年こそは頑張ろうと友人達とちょっとハメをはずした帰りに、こんな運命が待っていようとは・・・。

 

監督は言っています

「これは、人種差別から起きた悲劇を描いた作品ではなく、生きる希望に満ち溢れた、かけがえのない一人の青年オスカーの死であり、彼を取り巻く人々の愛情と、彼を失った絶望を描いた映画だ。」

 

仮にオスカーが白人青年だとしても悲劇ですよ同じく、撃たれる程の理由は無いです。

 

エンドクレジットが終っても席をすぐに立てない様な映画でした。

 

 

いやー映画は映画館。暗闇の中でがいいですね!